会の歴史と集会の記録

結成全国集会(93,7,6)集会宣言文

▼集会宣言文

宣 言 文
原子力行政を問い直す宗教者の会
 全国各地で、それぞれ宗教・信仰をもって活動する私たち。今まさに各自の宗教・信仰が、その真価を発揮すべき時が来た。

 今私たちは、人が人であることを忘れ、また恥じなければならない苦悩の時を迎えようとしている。核の被害、その非人間的暴力性を最も早く知ったはずのこの国が、「平和利用」と称して 核・プルトニウムからの撤退著しい世界の潮流に逆行して 「牽引者」になろうとしている。経済力と技術力への過信と奢りに充ちたこの国の核武装を、世界各国が懸念し警戒しはじめた。

 国は「地獄の大王」・プルトニウムの集中する 高速増殖炉「もんじゅ」の若狭、核然サイクルの青森・六ヶ所に対して、いよいよ棄民政策の強行をはかっている。

 国は、地域文化の破壊と分断 欲望の扇動と構造的差別の増長を企てつつ原発立地建設をこれまで強行に進め、また進めようとしている。

 国は、過酷事故を軽視して現地住民の不安を一蹴し、被曝労働に目をつぶり、その救済態勢には全く手をつけない。

 国は、放射性廃棄物を青森・六ヶ所に集中させることによって、矛盾の矛先をかわし、そのツケを将来世代に一方的に押し付ける破廉恥な政策を強行している。

 その間 国民が一時的な「豊かさ」「快適さ」という物質偏重生活を扇動され、やがて精神の荒廃 宗教的良心の否定へと導かれエゴと欲望と無知の故に、結果として強者の加害者側に立たされてきた重い現実を私たちは痛みをもって認識しなければならない。

 ああ、宗教者・信仰者が国の原子力行政に対して諌言し警告を発しなければならない事の重大かつ深刻さよ。

 原子力の本質的にもつ、強者が弱者を権力とカネで支配する構造は、都市住民の過疎住民に対しての、「北」の「南」に対しての、人間の人間以外の「種」に対しての、現代世代の将来世代に対しての、それぞれの差別性・暴力性だ。

 原発現地住民の、被曝労働者の、地球上のあらゆる動植物の、そしてこれから来たるべき一切の子孫の生命の、怨嗟のうめき声が聞こえないか。

 そもそも、私たち宗教者・信仰者はこれまで何をしてきたか。崇高な教えで安心や救いを説くものの、それらが専ら自らの内面や死後の平安、狭い「ご利益信仰」のみに向けられつつ、現実逃避をしていなかったか。かっての侵略戦争を宗教者・信仰者が防ぎえなかったばかりか、教団によっては積極的に荷担してきた犯罪的背教的歴史を至心に懺悔するとともに、私たちは今まさに自他の一切のいのちが破滅の渕にあるこの現実を直視し、その根本的具体的解決のために祈り行動しよう。それこそが、現代に生きる私たちがそれぞれの宗教・信仰の存在価値を表明し、自らをも深め回復していく道だ。

 私たちは1992年10月、原発や電力行政一般を司る通産省;資源エネルギー庁と核燃やプルトニウム行政を所轄する科学技術庁と「対話」を行ない、国の原子力行政を根本的に問い直し、その過ちをただし改めさせる闘いの第一歩を、ようやく踏みしるした。私たちを日々苦悩させる原子力犯罪の総もとじめが「国の行政」であることに照準を定め、今後訴え続けていこう。

 ただ願うところは、今日のこの未曾有の危機が、私たちのたゆみない愛と慈悲の熱誠と実践によって克服され、互いに敬い礼拝し合う社会が到来することだ。私たちは、これまで 地域や教派宗派の垣根で分断されてきた。今これを乗り越え破り、同一の課題のために協力団結しつつ行動を起こそう。

 愛する者たちのために。子供・孫 これから来たる者たちのために。故郷を 地球の生きとし生けるものを「地獄」から救いたいが故に。踏みにじられつつあるいのちの尊厳と真理を守りたいが故に。

 私たちに 大いなる信と力と勇気を。
1993年7月6日

結成全国集会(93,7,6)よびかけ文

結成全国集会(93,7,6)
▼よびかけ文
「原子力行政を問い直す宗教者の会」
結成全国集会ごあんない


 1993年。時は今“熟成”しつつある。フランスからの大量プルトニウムの東海港上陸に幕開けたこの年。4月には青森・六ヶ所村に核燃再処理工場の着工が強行され、この秋にはいよいよ若狭に高速増殖炉「もんじゅ」の運転がはじまる。

 その突出ぶりがあらわになった日本のプルトニウム政策に世界が懸念しはじめた。自らが「民主・自主・公開」の原則を踏みにじって突出する原子力行政。かつて軍国主義日本が侵略戦争を企て世界を敵にまわして破滅していった経過に酷似する。国民には「豊かさ」で荒廃させつつ原発増設の動きが急だ。老朽化し苛酷事故が増すであろう既設原発の中で、被曝労働者の労災認定がようやくなされた。時は新たな段階にはいっている。

 私たちはそれぞれに宗教・信仰をもっている。その意味を今鋭く問われはじめている。私たちは1992年10月、原発や電力行政一般を司る通産省、資源エネルギー庁と核燃やプルトニウム行政を所管する科学技術庁と「対話」を行い、国の原子力行政を根本的に問い直す歩みの、第一歩をようやく踏みしるした。原子力行政を問うことは自身の宗教的信念を問い直すことでもある。

 これらの経過を踏まえ、いよいよ「原子力行政を問い直す宗教者の会」の結成全国集会となった。課題は山積みしている。各地域に散在する宗教者をつなぎ、交流しながら行動したい。「いのち」や「子孫」の観点から行動したい。また現実の被曝、「差別」の実態を見つめながら行動したい。

 此度、記念すべき集会を高速増殖炉「もんじゅ」の地敦賀に於いて開催する。私たちの宗教的立場から「もんじゅ」運転と原発増設のストップを敦賀市長に申し入れ、「対話」を行う。更に実際に「もんじゅ」を見学し、今日の未曾有の危機を私たち一人一人が血肉化し共有したい。その上で、宗教・信仰によって結縁された私たちが、時代社会的存在として何を目指すのかを共々に模索したい。

 さあ、この夏敦賀で“あなたとともに”新たな歴史をつくろう。
1993年6月6日
敦賀全国結成集会代表 
掘部 知守(真宗大谷派)

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